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回向とは、一般的には故人を偲んで行う法要などをさします。しかし、本来の意味は、自分の善行によって得た清い心を周りの人にささげ、向け回すことを意味します。
人は一人では生きていけません。まわりの人や自然となんらかのつながりをもちながら、その中で生かされているのです。回向の心はその感謝の思いを表わすことです。
人は、亡くなれば肉体は消滅します。しかし、霊的な生命は不滅なのです。亡くなられた方への思いを、回向という形として表わしていくときに、いま生きている自分自身の心も浄化され清められていきます。亡くなった方の霊的な生命に向けられた思いは、めぐりめぐって自分のもとへ戻ってきます。
お題目の根拠である法華経(妙法蓮華経)にはすべての人の幸福と平和が説かれています。したがって、お題目の信仰とともに生きることがなによりの善行です。そして、その功徳を故人へ回し向けることがほんとうの「回向」になるのです。 |